童貞なのに、止まれなかった

童貞の俺に、こんな日が来るなんて思ってなかった。
「好きになったら、いいの?」
軽いはずの一言から始まった関係は、気づけば後戻りできない距離まで近づいていて──
本当は、順序を守るつもりだった。
手を繋いで、少しずつ距離を縮めていくはずだった。
それなのに。
余裕そうに見えていた彼女の、不意に見せた本気の表情。
触れた指先の温もり。
逃げ場をなくす距離。
気づけば、理性なんて簡単に壊れていた。
「優しく、お願いね…」
そう言った彼女を前に、
童貞だった俺は──止まれなかった。
初めてなのに、止まらない。
優しくしたいのに、余裕がない。
それでも、ちゃんと伝えたかった。
好きだってことも、
大事にしたいってことも。
これは、童貞の俺が初めて‘好きな子’と過ごした、
一度きりで終わらない夜の話。













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